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会報140号(2018.2)28頁

 (公社)富山県鍼灸マッサージ師会による会報140号(2018.2)28頁です。

高岡支部定期学術講習会 140

(高岡支部 山口 勇)

 平成29年11月19日(日)午後2時から高岡市ふれあい福祉センターにおいて、県師会第5回定期学術講習会(高岡支部)が開催されました。この講習会は例年、高岡市医師会からの講師推薦を受けて開催されています。平成16年からの開催ですが、今回初めて女性医師を推薦して頂きました。
 皮膚科神経内科 白崎医院 副院長 白崎弘恵先生を講師にお迎えして、「見逃さない!よくある症状に潜む脳神経疾患」と題してご講演いただきました。

 私これはまで「神経内科」に対する認識が浅く、「心療内科」と混在して考えていました。今回、講師に白崎先生をお迎えするに当たり、神経内科は内科の一分野として、脳、脊髄、末梢神経、筋肉の異常から起こる病気を担当するものと再認識したところです。ご講演は脳神経疾患が疑われる症状の中でも特に多い意識消失、頭痛の2症状について話されました。

  1. 意識消失発作 一過性の意識消失の原因として多いのは、失神、てんかん、非てんかん性心因発作(いわゆるヒステリー発作)である。失神とは、「脳全体の一過性低還流」によって生じる短時間の意識消失で突然の発症一過性、速やかかつ自然に回復し、後遺症を残さないことが特徴である。日本では救急受診者の3.9%が失神患者であるとの報告があり、失神に遭遇する頻度は多い。
     失神の原因別分類 @起立性低血圧による失神。 A反射性(神経調節性)失神。 B心因性失神に分類される。
     反射性失神が最も多く、次いで心因性失神が多い。生命予後不良とされる心因性失神の早期診断は最重要である。反射性失神の中では血管迷走性失神が多い。様々な要因により交感神経抑制による血管拡張と迷走神経緊張による徐脈が生じる結果、失神に至る。
     脳神経疾患による失神としては、パーキンンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症などの自律神経障害による起立性低血圧がある。
  2. 頭痛 @器質的異常のない一次性頭痛。 A原因疾患の存在する二次性頭痛。 B神経痛および他の顔面痛に大別される。
     このうち90%以上を占めるのが一次性頭痛であり、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などが含まれる。
     二次性頭痛の頻度は10%以下と少ないが、その原因は多岐にわたり、くも膜下出血のような生命に直結する重篤な疾患がある。
     (1)危険な二次性頭痛を見逃さない。頭痛を訴える患者に対して最初に考えべきることは、緊急性あるの二次性頭痛を除外することである。くも膜下出血、脳動脈解離、脳出血などの脳血管障害など迅速な対応が必要となる。二次性頭痛を疑うポイントとして、突発性の頭痛、今まで経験したことのない頭痛、いつもと様子の異なる頭痛などがある。
     (2)一次性頭痛。 頭痛患者の多くは一次性頭痛であり、その中でも緊張性頭痛が最も多い。比較的軽い頭痛が多く、動いても痛みはひどくならないため、時々おこる程度なら日常生活への影響はあまりない。予防治療は薬物治療と非薬物治療に大別され、非薬物治療の一つとして鍼灸マッサージがある。片頭痛は片側性(40%は両側性)拍動性の頭痛で、日常的な動作により頭痛が増悪することが特徴である。
     (3)慢性頭痛。 頭痛の頻度が少なく軽症のものでは、自ら市販薬(OTC)を購入したり、かかりつけ医から鎮痛剤などの処方を受けて対処するケースは多く、長期間使用よるに医薬品による複合薬物乱用頭痛が見受けられることが多い。薬物乱用頭痛は日常生活への影響が大きく、治療に難渋するため専門治療を要する。

 私たちの日常施術おにいても、頭痛、めまい、しびれ、物忘れなどの症状を訴える患者は比較的多く見受けられます。
 危険性の高い二次性頭痛、心原性失神の鑑別は無論のこと、比較的軽度と思われる慢性頭痛やめまい肩こりなどの症状に対しても、ただ漫然と長期に及ぶ施術を継続することなく定期的にかりつかけ医や専門医への受診を促し、日頃から医師とのコンセンサスを深めることが重要であると感じました。

講演される白崎弘恵先生
講演される白崎弘恵先生