ホーム会報>会報140号(2018.2)25頁

会報140号(2018.2)25頁

 (公社)富山県鍼灸マッサージ師会による会報140号(2018.2)25頁です。

認知症に対する鍼灸治療

(砺波支部 大野 広光)

 平成29年10月1日(日)13:30>16:00 富山県鍼灸マッサージ師会会館3階ホールに於いて、大阪府鍼灸師会理事・吉村春生先生をお招きして、「認知症に対する鍼灸治療」と題した講習会・ご講演がございました。

 結論から申し上げますと、認知症に対して、擦過鍼を使用した治療によって効果が認められた事がわかり、私にとっても大変有意義なご講義でした。

 肌の表皮を構成する表皮細胞のケラチノサイトは、これまで脳や体の神経だけで作られ機能していると考えられていた様々なホルモンを合成している事がわかっています。また、ケラチノサイトから神経伝達物質が脳に入ることでよい影響を与えると考えられるそうです。アルミ製の擦過鍼で、マイナスの電位を付加する事により、皮膚バリアの回復が促進され、さらには笑顔と意欲を生み出すメンタリティー効果も引き出してくれるそうです。

 「吉村式擦過鍼とは」
 @吉村式擦過鍼は皮膚を侵襲する(傷つける)事無く摩擦刺激による体性自律神経反射を応用した手技であり、小児鍼を応用したものである。
 Aあくまでも刺さない傷つけない事で確かな安全性を担保することができる手法である。
 B鍼への恐怖感を持った方にも受け入れてもらえる。

《擦過鍼施術部位・方法の一例》
 腕の掌側から・各経絡に沿って20回→眼窩上縁から外へ20回→側頭耳に向け提鍼にて30回→頭頂部後頭部に30回→眼窩上縁内から外へ20回→側頭耳に向けて提鍼にて30回→頭頂部から額に向け、頭頂部から後頭部に向け30回→脊柱部から肋骨の向きに合わせて30回

 高齢者認知症のリハビリテーション施設に於いても吉村先生の擦過鍼療法は通常の鍼灸よりも受け入れられやすく、また、受療満足度が85%〜95%を超えている事から、認知症治療におきましても僕にも安全に行える未来型鍼治療だと感じました。そういう点で、吉村先生のご講義は非常に勉強になりました。

 講習会に参加されていた各先生方におきましても、私が多少、間違った事をしていてもアドバイス頂き、ユーモアと器の大きさで許して下さる、温かい心を持った先輩方が多いと感じております。この場を借りて感謝申し上げます。

講演される吉村先生吉村先生の実技指導
講演される吉村先生吉村先生の実技指導