(公社)富山県鍼灸マッサージ師会による会報138号(2017.2)11頁です。
富山支部 林 博司
平成28年10月2日 富山県鍼灸マッサージ師会館3階ホールにて富山支部定期学術講習会を開催しました。演題は「胃の病気について」で、講師は東富山クリニック院長の中山郷三先生です。先生は昨年の支部定期学術講習会に招聘した夏井睦先生の練馬光が丘傷の治療センターで研修をされ湿潤治療の実践をされています。また県師会公開講座の講師、江部康二先生の糖質制限にも造詣が深く、糖尿病患者の食事療法も指導なさっていまして当師会にもご縁が深かったので今回の講演依頼となりました。
日本人の6割以上は胃が悪いと思っていて、総合感冒薬と双璧で総合胃腸薬が沢山売れているそうです。総合とはすべての症状に効くという意味で結局何に効くか解らないらしいけど取りあえず飲んでおく薬です。年末年始の宴会シーズンともなれば、飲み過ぎ食べ過ぎにストマックとか大正漢方胃腸薬等のテレビコマーシャルが流れます。飲み過ぎ食べ過ぎなければ必要ないのに、これではマッチポンプの様相を呈しています。
このような愁訴も含めて胃カメラで検査された写真を2時間にわたって公開してもらい説明をしていただきました。胃炎からピロリ菌による胃潰瘍や胃がんに至るまで、様々な画像を正常なものから疑わしいものや悪性のものまで披露していただきましたがその判別のむつかしさを痛感しました。特に胃がんは胃の粘膜に腫瘤を形成し、表面が扁平なもの、隆起したもの、窪んだものやそれに潰瘍をつくったりしています。ところがスキルス胃がんは悪性度が高く胃壁の中の粘膜下層や漿膜下層まで広がって硬い線維組織を作り表面からの発見は困難だそうです。
一般に腺腫や胃底腺ポリープは内視鏡的に切除できるので問題ないそうです。萎縮性胃炎ではピロリ菌が100%存在しているので除菌しなければなりませんが、1週間の抗生剤の服用で改善するそうです。
日頃健康に気を付ける生活が必要ですが、特に食事が漢方では大事です。西洋でも「You are what you eat」であり漢方では「医食同源」です。糖質の過剰摂取は禁物ですが体にいいものを摂る食養生の考えが大切です。ブロッコリー、ニンジン、生姜、大豆、キャベツ、ニンニク等の成分は体に必須の成分を多く含んでおりまして、体の不調を整える働きもあります。意識的にこれらの養生食物を摂るように心がけましょうということでした。やはり健康は食と運動からでした。
講演される中山先生
癌の可能性