ホーム会報会報No135(2015.7)1頁(目次)>会報No135(2015.7)9頁

会報135号(2015.7)9頁

 (公社)富山県鍼灸マッサージ師会による会報135号(2015.7)9頁です。

スポーツ現場における鍼灸マッサージ

 平成27年6月28日(日)帝京大学非常勤講師 朝日山一男先生に「スポーツ現場における鍼灸マッサージ」と題した講演をしていただきました。先生には2000年富山国体の折ボランティア活動の参加に関してご指導をいただき大変お世話になりました。今回も11月1日に開催される富山マラソン大会に備えて参加方法や運営や注意事項に関する指導を頂くため2回の講演会を予定しています。

 鍼灸マッサージ師がなぜ運動に関わられるのかと言う基本的な考えとして、スポーツに限らず体を動かすことと健康の関係は密接です。健康を保つための三大要件は運動、栄養、休養ですが特に問われるのは運動です。人間は他の動物に比べて汗腺が全身に分布しています。これは体温を調節するばかりでなく長時間の移動や労働を可能にし、脳の発達を促進しました。運動をして汗をかき全身の機能を高めれば心の健康も取り戻せます。

 平成22年の時点で日本の平均寿命は女性が世界一で86.30歳、男性が79.55歳ですが、健康寿命(日常生活に制限の無い期間)は女性が73.62歳、男性が70.42歳でその差女性12.68年間、男性9.13年間はロコモーティブシンドローム状態にあります。そのため介護が必要な費用は10兆円を超えています。
 このような原因は主に食べすぎと運動不足です。現代文明はひたすら食欲を満たし肉体を活動させないで脳ばかりを働かせる方向に発達して参りました。そこでもっと運動をすることにより健全な心身を回復する健康指南役としての鍼灸マッサージ師の役割は大きいものがあります。

 先生は神奈川県鍼灸マッサージ師会で平成8年からスポーツ鍼灸セラピー神奈川を立ち上げ、国体を始めインターハイ、マラソン大会など多数のスポーツイベントに参加し指導的役割を果たしてこられました。現場においてはチーム医療の一環として参加し鍼灸マッサージはトレーナー活動の一手段であります。監督、 医師、大会関係者との連絡を取り、すべては選手のために活動しなければなりません。

 スポーツ鍼灸マッサージの目的は障害を予防しパフォーマンスの向上と疲労回復をはかる助けとなるように努めることです。施術は応急処置に止め、時間は一人10分を目安にして短時間にまとめる。治療が必要な場合は医療機関や治療院を紹介します。

 鍼灸マッサージが国民の医療として位置付けられるように様々なスポーツイベントや包括的地域医療にも参画し、先入観による誤解を解きその有効性を正しく理解していただくために持続的に活動しなければなりません。

 先生には大変お忙しいところおいでいただき丁寧な説明と実技指導をしていただきありがとうございました。次回は施術上の注意事項や施術コーナーの設置法、受付や記録法など具体的に細部にわたる注意すべき点の指導をお願い申し上げます。

報告者 林 博司

講演される朝日山先生
講演される朝日山先生

朝日山先生の実技指導
朝日山先生の実技指導